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会長挨拶

MSSJ 会長就任あいさつ

日本質量分析学会会長

豊田前会長のあとを引き継ぎ、本年度より会長を務めさせていただく京都大学薬学研究科の石濱です。私は本会に学生時代から入会していたわけではなく、40手前で入会した新参者です。キャリアとしても、修士(工学)を得たのち、製薬会社、私立大学研究所を経て現職につきました。その分、他の学術団体との関わりも多く、本会の良いところ、悪いところを客観視できていると自負しています。ご存じの通り、本会における20代、30代の占める正会員の割合は、我が国の人口構成を反映して減少の一途をたどっています。10年たてば、私も含めてバルク世代が完全に抜け、本会だけではなく、多くの学会が存続危機を迎えると思われます。幸い、本会は、他の分析技術をベースにした学会とは異なり、発明されてから100年を経た今でもバリバリに技術革新が継続し、その応用範囲が拡大し続けている質量分析をベースにしています。LC, GC, CEのような分離分析法および種々の分光測定法のような、一時期に隆盛を極め、今は定常状態に入った分析技術とは大きく異なるのが特徴です。技術革新による測定装置の性能向上が新たな分野を広げる、というサイクルが今も回り続けています。学術団体としてみた場合でも、装置開発とそれを使った新しい研究が常に共存し、その舞台も産官学に等しく広がっています。今後10年たってもこのサイクルは回り続けると思います。ただし、これを学会として維持・発展させていくためには、組織としてフラットで、多様なものに対し決して排他的にならない文化をもっともっと醸成させていかなければ、と思っています。特に、今我々に足りないものは国際化です。もっと積極的に、特にアジア地域と交流し、学会の規模が小さくなっても大きなプレゼンスが示せるような学術集団であり続けることが、10年後の未来につながっていくのではないかと思います。私の専門のプロテオミクス分野では、中国が30年間の国家プロジェクトを始動させました。本会も豊田前会長が中心になって、次の10年のためのロードマップをたてています。時代に応じて修正しながら、中長期的視点で、次の世代へのつなぎをさせてもらえればと思っています。まずは2025年のAOMSC日本開催がありますし、またいずれIMSC招致もあるでしょう。本会の良い文化を継承しながら真の国際化に向けて、微力ながら頑張らせていただきます。会員の皆様のご協力、よろしくお願いいたします。

石濱 泰