日本質量分析学会 第74回質量分析総合討論会
会期/会場

開催趣意書

第74回質量分析総合討論会 開催趣意書

 第74回質量分析総合討論会を、2026年6月10日(水)~12日(金)の3日間、パシフィコ横浜会議センター(神奈川県横浜市)にて開催する運びとなりました。

 質量分析は、無機・有機を問わず多様な原子や分子の質量を高精度に測定できる、ほぼ唯一無二の手法であり、現代の物質科学において不可欠な分析基盤技術です。そして地球科学、宇宙科学、ライフサイエンスといった最先端分野のみならず、食品・材料・環境・衛生・医療など私たちの生活に密接に係わる分野でも、欠かせないものとなっています。日本質量分析学会は、「質量分析」を共通のキーワードとし、技術革新と豊かな社会の実現を目指して研究・開発に取り組む多様な人材から構成される学術団体です。本討論会はその中核をなす最大の学術集会であり、国内外の大学・研究機関・企業等から多数の研究者が参加しております。

 第74回質量総合討論会では、4つの会場で実施されるセッションで開催いたします。質量分析の原理と基礎の開拓から、材料科学、環境科学、地球惑星科学、ライフサイエンス、臨床検査、創薬など、様々な分野における質量分析の応用に関する、多数の研究発表がなされると期待されます。

 質量分析の活用の幅は年々広くなっており、多くの分野での導入が期待されています。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、学術界は知識の創造・普及、イノベーションの創出、科学的根拠の構築、技術基盤や人材の育成によって社会へ貢献することが期待されています。このような情勢のなか、SDGs未来都市・横浜で開催される第74回討論会では、世代、分野や所属を越えたMS関係者が集い、最新の研究成果や技術情報を共有し、交流を深める場となることを目指します。そうしたことから、本会のテーマを「MS omics」とし、広くMSユーザーが集う場にしたいと考えております。特別講演として、ライフサイエンスでは、国立医薬品食品衛生研究所の齋藤 嘉朗所長に、国民の医薬品使用並びに衛生化学への安全へのMSの貢献に関するご講演を賜ります。さらに、テキサス・テック大学教授の堀田 十輔先生に、安定同位体分析を活用した地球化学についてご講演賜ります。

 さらに2024年度の総合討論会に引き続いて日本環境化学会に共催いただき、環境科学に関する両学会の最新の知見を交換するセッションも企画しています。例年通り、若手研究者・技術者からの積極的な参加・発表を期待し、ベストプレゼンテーション賞の表彰も行います。2025年に開催される日本質量分析学会が主催するアジアオセアニア質量分析会議(Asia-Oceania Mass Spectrometry Conference : AOMSC)から引き続き国際セッションもより拡充し、海外とくにアジアの新進気鋭の若手研究者に多数の口頭・ポスター発表をしていただくことを検討しています。

 このように質量分析の基礎から応用まで、国内外のアカデミア、産業界の研究者による活発な議論、討論、そして情報交換を行っていただける場として、ご参加いただく全ての方々に満足いただける質量分析総合討論会にするべく、実行委員の総力を結集して鋭意準備を進めています。例年通り、6月に米国で開催される、アメリカ質量分析学会年会(American Society for Mass Spectrometry: ASMS)の後に開催しますので、そこで発表された最新の技術・知見の情報を国内でいち早く得ることもできると期待されます。皆様には本討論会に是非参加され、研究成果を発表し質量分析学の発展に寄与していただくとともに、質量分析法の発展を目の当たりにされ次世代への展開につなげていただきたいと願っております。

 質量分析に関心のある皆様のご参加とご発表を、心よりお待ち申し上げます。

第74回質量分析総合討論会
実行委員長 川崎 ナナ