日本質量分析学会 第66回質量分析総合討論会

開催趣意書

 Mass Spectrometry and Proteomics 2018 (MSP2018)(第66回質量分析総合討論会・日本プロテオーム学会2018年大会・9th AOHUPO合同大会)を、2018年5月15日(火)~18日(金)の4日間、大阪府吹田市にあるホテル阪急エキスポパークを会場として開催いたします。
 J. J. Thomsonが20世紀初頭に質量分析装置を開発して以来、100年強の歴史の中で、質量分析は様々な分野で必要不可欠な分析技術として発展してきました。中でも今世紀に入ってからの生命科学分野での存在感は目覚ましく、複雑な生体マトリクス中における生体分子の網羅的な定性定量解析手段として、唯一無二の技術として重要な役割を果たしてきました。特に、2002年のノーベル化学賞受賞対象となったタンパク質のような生体高分子質量分析の発展は目覚ましく、タンパク質全体(プロテオーム)の解析力は質量分析装置の発展とともにあると言っても過言ではありません。
 そこで、質量分析とプロテオミクスを担う二つの学術団体である日本質量分析学会と日本プロテオーム学会は、初めての試みとして合同年大会を行うことを決定いたしました。プロテオミクスから見ると質量分析は無くてはならないパートナーであります。一方、質量分析からみると、生命機能の最も重要な担い手としてのタンパク質を唯一無二の手段として解析できるということで、その存在意義を最も活かせる分野の一つであると言えます。もちろん本学会では、質量分析の応用範囲をプロテオミクスのみにフォーカスするわけではなく、食品、材料、環境、臨床等の幅広い分野への適用についても議論し、また質量分析そのものについてもさらなる発展について議論を深める予定です。
 本会初日には、2016年ノーベル生理学医学賞受賞者である大隅良典先生の特別講演をいただきます。また、最終日には質量分析を基盤としたプロテオミクスで世界を常に牽引している独マックスプランク研究所のMatthias Mann先生に質量分析装置をはじめとする新技術開発とその臨床分野への適用についてのご講演をいただく予定です。アジアオセアニア地区からも多くの発表が予想され、基礎から応用まで、国内外のアカデミア、産業界の研究者による非常に活発な議論、討論、そして情報交換が行える場を提供していく予定にしております。
 「質量分析学」「プロテオミクス」を主軸に研究する方々が1年に一同に会する折角の機会ですので、皆様方には是非ご参加頂き、様々な方面から活発なご討論、情報交換を行っていただければと思います。
 例年通り、口頭発表、ポスター発表、企業展示及びワークショップ等の企画を予定しております。また、質量分析夏の学校などで活躍している学生や若手研究者に研究発表をしていただくセッションも企画しています。例年通り、10件程度のベストプレゼンテーション賞を口頭及びポスター発表から選定する予定ですので多くの若手の方による発表を期待しておりますので奮ってご参加ください。
 最後に、MSP2018を実りある会とするため鋭意準備を進めているところですが、この機にご発表、ご参加を是非予定され、研究発表のみならず、活発な意見・情報交換を通じて交流を深めていただきたいと願っております。

Mass Spectrometry and Proteomics 2018 (MSP 2018)
日本質量分析学会・日本プロテオーム学会2018年合同大会
実行委員長  石濱 泰