日本質量分析学会 第67回質量分析総合討論会

プログラム

特別講演

■特別講演1
Joost A. de Gouw 教授(コロラド大学)
■特別講演2
Martin F. Jarrold 教授(インディアナ大学)
■特別講演3
小椋 康光 教授(千葉大学)

オーラルセッション

■セッション名
メタロミクス
■オーガナイザー
平田岳史(東京大学)/梅村知也(東京薬科大学)
■基調講演
沖野晃俊(東京工業大学)
■開催趣旨
メタロミクス(Metallomics)は、生体中の金属の機能と生理機能の体系化を目指す総合科学として2004年に原口紘炁先生(名古屋大学名誉教授)によって提唱された日本発の学問領域である。生体内にわずかしか存在しない微量の金属元素であるが、遺伝子の発現やシグナル伝達、あるいは代謝反応に関わるタンパク質に結合することによって、様々な生理機能が発揮される。したがって、金属元素の存在量や存在形態、さらには共存成分は、生体機能維持に多大な影響を与える。メタロミクス研究は、ゲノミクスやプロテオミクス研究と深く関連しており、これらの研究との統合的な解釈が疾患原因因子の同定や新規治療薬の開発に繋がるものと期待されている。現在、メタロミクス研究は一細胞レベルでの元素の局在分析や化学形態別分析へと向かっており、質量分析法を基軸としたさらなる新規分析技術の開発が求められている。本セッションを通じてメタロミクス研究の現状と課題に関する情報交換を行うとともに、質量分析法の重要性と開発動向について議論したい。
■キーワード
メタロミクス、無機質量分析計、化学形態別分析、安定同位体、イメージング
■セッション名
揮発性物質のリアルタイム定性・定量分析
■オーガナイザー
関本奏子(横浜市立大学)/坂倉幹始(エーエムアール株式会社)
■開催趣旨
フレーバーサイエンスや大気環境科学の分野では近年、揮発性物質のリアルタイム質量分析の需要性が高まっている。リアルタイム分析には主に、リアルタイム直接分析質量分析法(DART-MS)やプロトン移動反応質量分析法(PTR-MS)が利用されている。しかし、秒単位で移り変わる化合物を正確に同定し定量することは極めて難しい。無数に得られる“一期一会”のマススペクトルからより多くの情報を引き出すためには、定性・定量分析技術の深化が不可欠である。本セッションでは、揮発性化合物のリアルタイム分析の応用事例や現場での課題を取り上げると共に、定性あるいは定量に適したイオン化技術や異性体判別を含めた同定法を議論したい。
■キーワード
揮発性物質、リアルタイム質量分析、定性・定量分析手法、同定法
■セッション名
その場環境計測のための質量分析
■オーガナイザー
大森裕子(筑波大学)/丸岡照幸(筑波大学)
■基調講演
谷本浩志(国立環境研究所)
■開催趣旨
可搬型質量分析計は、様々な場面での“その場計測”を可能にしている。研究室設置型の質量分析計を使用する場合には、測定試料はサンプリングされ、研究室に運び込まれる。サンプリングすることそのものが、その物質が存在していた元の状態から逸脱することを意味し、温度・圧力、酸化還元電位、化学種などの物理・化学状態がサンプリングの直後から変化していく。したがって、研究室で測定して得られた分析値は必ずしも、サンプリング・サイトの情報を反映しないことも起こり得る。“その場計測”はこれを食い止める唯一の手段であり、変質を受けやすい液体や気体といった流体の関わる分野においては“その場計測”は特に重要になる。本セッションでは質量分析計を用いたその場計測法を適用した最新の講演を募り、さらに発展させるための新技術やその適用方法について討論したい。
■キーワード
オンサイト質量分析、環境科学、プロセスガス分析、宇宙探査、海洋科学、火山学
■セッション名
質量分析が切り拓くタンパク質研究
■オーガナイザー
小川覚之(東京大学)/絹見朋也(産業技術総合研究所)
■開催趣旨
タンパク質の構造多様性は機能の多様性を生み、その分子動態は生命機能の根幹を為す。故にタンパク質の構造を正しく詳細に明らかにすることは、生命現象の理解はもとより分子病態の理解や医療応用の基礎となる。タンパク質の一次構造解析や翻訳後修飾解析は古くから質量分析の独壇場であるが、近年では高分解能質量分析やイオンモビリティー質量分析等の応用により、超分子複合体や高次構造解析、医療応用まで解析対象が飛躍的に広がっている。そこで本セッションでは質量分析によるタンパク質解析の基礎研究からその医療応用までを対象とし、その間のシームレスな繋がりについても議論したい。
■キーワード
タンパク質、翻訳後修飾、複合体、ネイティブMS、イオンモビリティー質量分析
■セッション名
オープンデータからデータサイエンスへ
■オーガナイザー
河野信(ライフサイエンス統合データベースセンター)/福島敦史(理化学研究所)
■開催趣旨
近年の世界的なオープンサイエンスの潮流から、論文掲載にはデータの公的データベースへの登録が必須となりつつあり、質量分析データについてもデータの共有が進んでいる。また、特に画像解析の分野においては、大量の画像データを用いた機械学習の手法が成果を挙げている。これらデータの共有と公共データを利用した研究は、質量分析計を利用する分野でもますます盛んになると考えられる。そこで本セッションでは、日本における質量分析データを扱うプロテオミクス、メタボロミクスのデータベースの整備状況と、それら共有データを利用するためのツールや機械学習の成果について、最新の動向を紹介する。
■キーワード
オープンサイエンス、データサイエンス、ビッグデータ、データベース、機械学習
■セッション名
イオン移動度測定とイオン分子反応
■オーガナイザー
野々瀬真司(横浜市立大学)/美齊津文典(東北大学)
■基調講演
河野淳也(学習院大学)
■開催趣旨
質量分析が用いられる分野は近年急速に拡大する傾向にある。その背景には、イオン移動度測定・イオン分子反応など、質量分析を基礎から支える研究の進展がある。特にイオン移動度測定と結合した質量分析は、ペプチド・糖・タンパク質・タンパク質複合体等の生体分子の解析など構造生物学の分野で大きく発展している。そこで本セッションでは、イオン移動度測定の原理、イオン分子反応の素過程、イオン化の機構などの基礎研究を中心として、イオン移動度測定を用いた生体分子の解析などの応用研究についても幅広く議論したい。
■キーワード
イオン移動度測定の原理、イオン分子反応の素過程、イオン化の機構
■セッション名
試料導入・イオン化、解離をはじめとする質量分析要素技術最前線
■オーガナイザー
水野初(静岡県立大学)/浅川大樹(産業技術総合研究所)
■開催趣旨
質量分析は、生命科学や食品・環境科学、材料開発をはじめ、様々な分野において広く利用されており、多様なニーズに対応するためには試料中の多種多様成分のイオン化、イオン解離などのハードウエア開発や、これらに関連する基礎研究が行われている。本セッションでは、質量分析の基礎とされる試料の導入からイオン化、イオン輸送、解離、そしてそれらに関連するハードウエア及び関連技術に関する発表を幅広く募集する。イオン化、解離技術をはじめとした最新の知見を共有し、次世代の質量分析技術について議論したい。
■キーワード
新規デバイス、装置開発、試料導入、イオン化、イオン解離、イオン光学
■セッション名
ものづくりを支える質量分析
■オーガナイザー
佐藤昌紀(京セラ株式会社)/石塚圭(AGC株式会社)
■開催趣旨
新興国の台頭により、日本のものづくりの競争力低下が叫ばれて久しい。このような状況の中、我々分析に関わる者の使命は、よりよい評価技術、より確かな分析データをものづくりの現場にいち早く届け、新製品開発や品質管理に寄与することであろう。そのための最も効果的なプロセスは、国内のサプライチェーン(川上、川中、川下メーカー)、受託分析メーカー、装置メーカー、アカデミアが一体となって、コンセプトに基づいた実用性の高い評価技術を作り上げていくことである。特に質量分析においては、検出感度、汎用性の高さから、材料分析に必須の技術となることが期待されている。 本セッションでは、工業製品関連材料(合成高分子、添加剤、複合材料等)をターゲットとした、前処理(分離・精製)、イオン化、高分解能MS、イメージング、プロファイリング、データ解析等ついて幅広い分野からのご発表をいただき、ソリューションと課題の共有を図ると共に、それぞれの立場における分析の在り方についても意見交換し、分析技術の「共創」を促す場としたい。
■キーワード
工業材料、評価技術、材料開発、原料管理、品質管理、サプライチェーン、共創
■セッション名
創薬分野からのホットな話題:ニューモダリティ化合物及びバイオマーカーの質量分析
■オーガナイザー
佐野善寿(株式会社サンプラネット)/川崎ナナ(横浜市立大学)
■開催趣旨
医薬品開発は年々競争が激化し、従来の低分子から抗体医薬等の高分子、さらには天然物、核酸、ペプチド、これらの複合化合物などあらゆる有機化合物がターゲットとなっている。これに合わせるように、従来は質量分析以外の測定法がスタンダードであった分野でも、LC-MS/MSなど質量分析計を用いる定量法等が急速に開発・ブラッシュアップされ、感度や精度でも従来法に引けを取らない測定を確立した報告が相次いでいる。本セッションではこれら創薬分野のトレンドであるニューモダリティ化合物やそれに伴う分析事例を集め、皆さんと情報共有するとともに今後の展開について来場者を含めて意見交換したい。
■キーワード
医薬品開発、ニューモダリティ、抗体医薬、核酸、定量
■セッション名
イメージング質量分析 ~現状とこれから必要なこと~
■オーガナイザー
佐藤貴弥(日本電子株式会社)/黒木康生(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)
■開催趣旨
イメージング質量分析の基礎技術が一定の水準に到達し、現在は生体試料・工業材料など、その応用範囲が大きく広がっている時期である。基礎技術と応用技術は質量分析技術の両輪であり、応用範囲の広がりとともに、それに対応するための新しい基礎技術開発や既存技術の改良が必要となる。イメージング質量分析が可能な手法としては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、脱離エレクトロスプレーイオン化質量分析法(DESI-MS)、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)など多岐にわたる。それぞれに、前処理、イオン化、質量分離といった様々な技術の集合体であり、得意とする分析も異なる。本セッションでは、無機分析、有機分析に利用されるイメージング質量分析技術についての現状と課題について取り上げるとともに、新しい技術開発についての発表も歓迎し、イメージング質量分析の未来について情報交換し、議論を深めたい。
■キーワード
イメージング質量分析、前処理、装置開発、解析手法

ワークショップ

■セッション名
「LC/MSの基礎と実際」-さまざまなイオン検出器と特性について-
■オーガナイザー
窪田雅之(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)/瀧浪欣彦(ブルカージャパン株式会社)
■開催趣旨
企業プログラムWGでは、その活動の一環としてWGの立場から総合討論会の価値を高めることに貢献するために、基礎的事項にフォーカスした内容にてワークショップを実施している。過去3回の企画では、「マトリクス効果」、「質量分離機構とMS/MS分析」、「大気圧イオン源からのイオン導入系の実際」にフォーカスして開催した。今回は、2018年度の聴講者アンケートと各企業からの意見を基に決定し、「検出器」をテーマとする。装置は質量分離機構にあった特性を持つ検出器と組み合わされており、この組み合わせが装置の特徴であり、分析目的に応じて使い分けが生じる所以である。ユーザー、メーカーともに差別化が容易な質量分離機構に囚われがちであり、検出器自体が議論される場面は少ないが、本セッションではあえてこの検出器を取り上げ、好評のパネルディスカッションも含めた双方向のワークショップを行う。
■キーワード
LC-MS、検出器、イオンカウント、誘導電流