日本質量分析学会 第67回質量分析総合討論会

開催趣意書

第67回質量分析総合討論会開催趣意書

日本質量分析学会 第67回質量分析総合討論会を、2019年5月15日(水)~17日(金)の3日間、つくば国際会議場エポカル(茨城県つくば市)にて開催いたします。質量分析の進歩はめざましく、これまで様々な学術研究や社会的要請に応えてきました。日本質量分析学会の前身である質量分析研究会が1952年12月に創立されて以来、本討論会は、毎年、学会のメインイベントとして開催されてきました。今回で第67回を数える本会議は、質量分析法に関する国内最大の国際学術会議と位置づけることができます。その長い歴史に裏打ちされ、日本には質の高い研究を行う研究者、高いレベルの技術者、そしてこれらの研究や技術を利用する幅広い分野のユーザーが数多く存在し、これらすべての方々が関わって、今日の日本の質量分析技術が築き上げられています。

その一方で、質量分析は急速に高度化と専門化が進み、質量分析を俯瞰的に捉え長期的視野に基づいて研究開発動向の策定や人材育成を行う機会が減少しています。質量分析総合討論会では、最新の研究成果の紹介にとどまらず、異なる専門の研究者が広く研究交流し、学術的な意見交換や議論を通じて今後の研究開発動向を立案する場としての機能も担っています。個人的な話で恐縮ですが、私も質量分析に携わり30年が経過しました。私の専門は無機質量分析・同位体分析ですが、この10年で生命化学・医化学分野への応用が加速しています。その一例がメタロミクス(Metallomics)です。メタロミクスは生体中の金属の機能と生理機能の体系化を目指す総合科学として2004年に原口紘炁先生(名古屋大学名誉教授)によって提唱された日本発の学問領域です。我々無機質量分析に携わる研究者でも、私達の研究には無関係であった様々な質量分析の技術・知識を積極的に取り入れ、総動員して研究に取り組むべき時期が到来したと感じています。質量分析総合討論会の重要性は、今後、ますます高まるものと期待しています。

第67回質量分析総合討論会では幅広い研究分野を網羅した15のセッション(公募セッションを含む)から構成されています。また、質量分析を活用した研究で世界の先導的立場にいらっしゃる3名の先生(Joost A. de Gouw博士、Martin F. Jarrold博士、小椋康光博士)をお招きして特別講演をいただくことも企画しております。さらに若手研究者・技術者からの積極的な参加・発表を期待し、例年通りベストプレゼンテーション賞を設け若手の奨励を行います。このようなプログラム構成により、活発な研究発表・討論を繰り広げ「次世代研究者の育成」を目指したいと存じます。皆様のご協力を賜りたくよろしくお願い申し上げます。

第67回質量分析総合討論会において多くの皆様にお目にかかれることを、一同心より楽しみにしております。

第67回質量分析総合討論会
実行委員長 平田岳史