第13回TMS研究会/第36回イオン反応研究会共催
 特別講演会報告


 第13回TMS研究会/第36回イオン反応研究会共催の特別講演会が11月2日(金)に伯東株式会社セミナールームにて開催されました。今回のテーマは「NBC対策―テロの実態と対策」で、期せずして非常にタイムリーな話題となってしまいました。その為か、MS学会関係以外の方にも大勢参加して頂けました。

 前半はMSを用いた危険物測定ということで、日立製作所の高田安章先生と名古屋大学大学院の石田康行先生にご講演頂きました。高田先生には、APCIでイオン化したニトロ化合物(爆薬)をQMSでリアルタイム検出する爆発物モニタについてご紹介頂きました。石田先生には、米国留学中にご研究された、MALDI-MSによるリン脂質スペクトルパターンで細菌種を識別する方法についてご講演頂きました。どちらのご講演も、危機管理におけるMSの役割の重要性を示しており、今後の研究に期待がかかります。

 後半はテロ、危機管理の実態ということで、陸上自衛隊OBの重松正久先生と森野軍事研究所の亀井浩太郎先生にご講演頂きました。重松先生は化学兵器に詳しく、陸上自衛隊時代に中国黒龍江省での遺棄化学兵器処理に参加されました。そのとき撮影された貴重なビデオを見ながら、処理作業についてご説明頂きました。亀井先生はテロ組織の実態に詳しく、テロ形態の変遷等についてお話くださいました。両先生のお話はめったに聞けない内容なので、仕事も忘れて聞き入ってしまいました。

 最後の総合討論では、最近の危機意識の高まりからか質問が殺到し、活発な討論が行われました。やはり一番の興味は、日本でもテロが起こるかという点でした。亀井先生の「日本でもテロは十分に起こり得る」「日本の象徴のような場所でのテロが効果的である」という言葉には、会場はしんと静まり返っていました。講師の先生方は日本の危機管理意識の甘さを批判し、官民共同で研究を進めることの必要性を強調されていました。これは今後の研究課題として、考えていかなければならないことと思います。

 今回、菅原順一氏はじめ伯東株式会社の皆様には、会場の提供及び準備等でお世話になりましたことをお礼申し上げます。

TMS研究部会 部会長 平林由紀子





総合討論風景


講演会風景


}