開催趣意書

日本質量分析学会第62回質量分析総合討論会を2014年5月14日(水)~16日(金)の3日間、大阪府吹田市にあるホテル阪急エキスポパークを会場として開催いたします。
 1897年にJ. J. Thomsonが質量分析を用いて電子に質量があることを発見して以来、質量分析は様々な物質の発見や構造を解き明かしてきました。現在、質量分析は科学のみならず様々な応用分野で利用されており、正確な質量測定は物質の同定に必要不可欠となっています。そんな中で、今年、そもそも“物質の質量”とは何か、あるいは、“物質に質量を与えるものは何か”といった日頃考えもしない物質の根幹に触れる発見があったことは記憶に新しいことと思います。ご存知の通り、それは物質に質量をもたらすとされる「ヒッグス粒子」の存在が証明されたことでした(2013年度ノーベル物理学賞)。 我々が扱うマクロの世界にはほとんど関係ないことかもしれないが、やはり“質量”分析を主な手段としている者にとっては無視できない関心事だったと思います。今回の総合討論会では、ヒッグズ粒子の測定に貢献された花垣和則博士(大阪大学理学研究科物理学専攻)、また、それとは対照的に、マクロモレキュールの代表である、生体で多様な機能を発揮するタンパク質の構造を精力的に研究されている栗栖源嗣博士(大阪大学蛋白質研究所)、そして、最近盛んになっているタンパク質間相互作用の検出に質量分析を応用されているJoseph A. Loo博士(UCLA)をPlenary Lectureにお招きし、最新のご研究や歴史的な背景等を拝聴する予定にしております。
 質量分析総合討論会には全国の国立・公立・民間の大学や研究機関、そして、多くの国内外の企業から多数の研究者が参加されています。また、質量分析が利用される分野は多岐に亘る為、今回は3つのパラレルセッションで12のセッションを企画する予定です。多くのご発表を3日間で納めるにはこのような運営で行わざるを得ませんが、“質量分析“を主軸に研究する方々が1年に一同に会する折角の機会ですので、今回、分野横断的に意見交換する場をパネルディスカッション形式で行うことを企画しております。皆様方には是非ご参加頂き、様々な方面から活発なご討論、情報交換を行っていただければと思います。
 例年通り、口頭発表(企画及び一般公募)、ポスター発表、企業展示及びセミナー等の企画を予定しております。また、今回は10件程度のベストプレゼンテーション賞を口頭及びポスター発表から選定する予定です。特に、多くの若手の方による発表を期待しておりますので奮ってご参加ください。
 今回から、4年前まで開催時期としてきた5月に開催することになり、開催初日の午前には総会を予定しております。会員の皆様方にはそちらにも是非ご参加をお願いします。
 最後に、第62回日本質量分析総合討論会を実りある会とするため鋭意準備を進めているところですが、この機にご発表、ご参加を是非予定され、研究発表のみならず、活発な意見・情報交換を通じて交流を深めていただきたいと願っております。

第62回質量分析総合討論会

実行委員長 高尾 敏文