第51回質量分析総合討論会(2003)報告

第51回質量分析総合討論会(2003)が、2003年5月14日(木)から16日(金)まで 独立行政法人 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)にて開催されました。
今回は、国際バイオEXPO(東京)と全く会期が重なったこと、そして期間中は生憎の雨天の中、しかもつくばという大変交通の不便な開催地であったにも関わらず、発表演題数、参加者数ともに前年比約4割増という過去最大規模となり、大盛会のうちに滞り無く終会致しました。

マススペクトロメトリーの世界は、従来から盛んに利用されていた天然物や有機物の分野に加え、近年では、目をみはるほどの速度で進歩し、爆発的な利用がなされている薬物や生化学、ゲノム関連などバイオ、医学、薬学方面での利用、更には、温暖化など地球環境に影響を与える因子を解析するにも欠かせない道具として存在しています。また田中耕一さんのノーベル賞受賞によって、より多くの人が質量分析・マススペクトロメトリーという言葉を耳にしたことで、これまで以上に親しやすい装置になっています。

一方で研究のことを考えますと、自分の分野で当たり前のことが他の分野では斬新に思えることが多々あります。そして新たな発想のネタは他の分野に落ちていると考えて、今回のテーマを「質量分析と他分野の融合」としました。その結果、討論会の常連であるマスの研究者と、新たな参加者である、マスを道具の一つとして使っている研究者やマスに少し興味を持っている研究者が一つの舞台に集う機会を設けることができたと考えています。

討論会での皆様の活発なご意見は、多くの場合華々しく晴れ舞台に踊り出ることのない縁の下の力持ちとしての役目を果たしてきたマススペクトロメトリーの世界が未来の科学を総合的に切り開いていく鍵を握る大きな第一歩を踏み出したと確信しております。従いまして今回の盛況ぶりが来年以降も続くであろうと思っています。


開催に際しましては、ご講演いただきました先生方、活気ある討論・発表を行っていただきました参加者の皆様、ランチョンセミナーや展示会で骨を折っていただきました各企業様 その他多くの皆様にご祝詞ならびに多大なご協力を賜わりましたことを学会関係者・実行委員一同より厚く御礼申し上げます。

第51回質量分析総合討論会 実行委員長
小田 吉哉
(エーザイ株式会社 シーズ研究所)



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